大川渓谷に連なる奇岩群と吊り橋を楽しめる塔のへつり
湯野上温泉へ向かう途中、筆者は「塔のへつり」の存在をまったく知りませんでした。
今回、湯野上温泉の宿へチェックインするまで時間があったため、周辺で立ち寄れる場所を探していたところ、道路上の案内標識で見かけたのが「塔のへつり」です。

現地へ行って初めて、国指定天然記念物に指定されている景勝地であることを知りました。
実際に歩いてみると、大川渓谷沿いに奇岩群が連なり、吊り橋を渡りながらダイナミックな景観を楽しめる見応えのある場所でした。
今回は、2026年5月上旬に訪れた塔のへつりを紹介します。
塔のへつりの「へつり」とは?大川の浸食が作った奇岩の歴史
長い年月をかけて浸食と風化を繰り返し形成された奇岩や絶壁が連なる、南会津の景勝地「塔のへつり」。
太平洋戦争中の1943年(昭和18年)8月24日には、国指定天然記念物に選定されています。

ちょっと変わった名前ですが、「へつり」とは会津地方の方言で「川に迫った断崖や急斜面」のこと。
筆者も現地へ来るまでは意味を知りませんでしたが、実際に目の前に立つと、その名前がしっくりくる景観が広がっていました。
そして、その断崖の下を流れているのが「大川(おおかわ)」。
大川は、新潟県へと続く阿賀川の会津地方での呼称となっています。

案内板によると、この大川による浸食と風化が約100万年もの長い年月にわたって繰り返されたことで、現在の奇岩群が形成されたとのこと。

さらに各岩には、その形の特徴から名前も付けられています。

白い岩肌には長年の浸食によって形成された層がはっきりと残っていました。
塔のような形をした巨大な岩が並ぶ姿は独特で、「よくこんな地形になったな」と思わず見入ってしまいます。

筆者が訪れたのは6月上旬。
新緑に包まれた渓谷と奇岩群の組み合わせは想像以上で、道路標識で偶然見つけた場所とは思えないほど見応えがありました。
つり橋「藤見橋」を渡り、断崖のへこみを歩いて虚空蔵尊へ
大川に架かるつり橋「藤見橋(ふじみばし)」を渡り、塔のへつりの麓(対岸)へ行くことができます。


藤見橋へ行く途中、綺麗な藤の花が咲いていました。
その名の通り、満開の時期にはさらに見事な景色が広がるのでしょうね。

なお、このつり橋には荷重制限があります。
手前の案内板には、協力要請として「一度に30人以上は渡橋をしないように」と書かれていました。
また、冬季は積雪等により通行止めになります。

藤見橋を渡りきると、長年の侵食によってできた、断崖絶壁の“へこみ(岩棚)”の部分を歩くことができます。
頭上まで岩肌が迫る独特の通路です。


このへこみ部分を通り抜け、岩肌をくり抜いたような石段を上がっていくと、「護摩塔岩(ごまとういわ)」の洞窟のように窪んだ場所に「虚空蔵尊(こくうぞうそん)」が佇んでいます。

虚空蔵尊には虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)が安置されており、807年(大同2年)に坂上田村麻呂によって創建されたと伝えられているそうです。

岩窟の中に佇むお堂は、厳かな空気に包まれていました。

ちなみに、こちらでは書置きの御朱印をいただくことができました。

筆者が訪れた日は平日だったこともあり、大きな混雑もなく、自分のペースでゆっくりとこのダイナミックな景観と参拝を楽しむことができました。

塔のへつり駐車場は無料?有料?
塔のへつりには「塔のへつり 木かげの駐車場」があります。
グーグルマップの口コミを見ると、「無料」という声が多い一方で、「有料だった」という口コミも見られます。
無料の口コミの方が多いものの、なぜ有料という口コミがあるのかまでは確認できていません。
ただ筆者が訪れた際は、この「塔のへつり 木かげの駐車場」に行きつく前、手前にある踏切を渡ったところで、お土産屋の人が道路に立っており、そこで駐車場料金300円を徴収されました。
その際、「このお土産屋で食事や買い物をすると(駐車料金が)無料になる」との説明を受けました。
さらに「今日は平日で人が少ないから、安いからラッキー」と言われたので、普段の料金を尋ねてみると「500円」とのことでした。
ちなみに当日の筆者は「塔のへつり 木かげの駐車場」の存在は知りませんでした。

ちなみに塔のへつり前のロータリー周辺には3軒のお土産店があります。
偶然にも筆者は、駐車料金を徴収していないお土産店の方と話をすることができ、この「買い物を条件に駐車料金を取る方式」を採用していたのは、3軒のうち2軒という事がわかりました。
話を聞かせてくれたお店の方は、「買い物を条件とした駐車料金はやめてほしい。塔のへつり全体のイメージが悪くなってしまう」とも。
なお、塔のへつり自体の見学は無料。
景観は素晴らしかっただけに、この駐車料金の仕組みだけは少しスッキリしませんでした。
まとめ・感想
塔のへつりは、筆者が湯野上温泉へ向かう途中に偶然知った場所でした。
正直なところ、訪れるまでは名前すら知りませんでしたが、大川の浸食によって形成された奇岩群や断崖絶壁は想像以上の迫力。
吊り橋を渡りながら奇岩群を間近で見学できるだけでなく、岩窟内に佇む虚空蔵尊まで参拝でき、見応えのある景勝地でした。
特に6月上旬の新緑に包まれた景観は印象的で、道路標識を見かけて立ち寄った場所とは思えないほど満足度の高い観光地です。
一方で、駐車場料金の仕組みについては少し分かりにくい部分もありました。
とはいえ、塔のへつりそのものは無料で見学できる国指定天然記念物。
南会津や湯野上温泉周辺を訪れるなら、一度立ち寄ってみる価値のある景勝地だと感じました。
おわり

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