新潟県は日本酒王国として知られ、久保田や越乃寒梅など、全国的に有名な銘酒を多数輩出しています。
筆者は現在、新潟県南魚沼市湯沢町のリゾートバイトで、ホテルのレストラン業務についており、そこでお客様から「おすすめの日本酒は?」と聞かれる機会が数多くあります。
どこのリゾートバイト先でも、着任後は酒蔵巡りをするなど、地酒の知識を深めることをやってますね。
もともと日本酒が好きで、趣味も兼ねて酒蔵巡りを楽しんでる感じだけどw
岡山県湯郷温泉の時も巡ってたな
今回も蔵元に行ったのですが、「休みだったり」、「卸売りのみで一般売りをしていない」などで購入できず、酒店での購入になりましたが、白瀧酒造、青木酒造、高千代酒造、玉川酒造の計4蔵の純米酒を飲み比べました。
今回の記事は、その飲み比べの感想レビュー記事です。
では、飲んでみよう
南魚沼市の酒蔵の仕込み水は超軟水
酒店の大将の話によると「白瀧酒造、青木酒造、高千代酒造、玉川酒造4蔵とも仕込み水は軟水で、しかも超軟水」とのこと。
2023年12月現在販売していないようですが、たしかに高千代酒造の仕込水720mlに瓶詰めした「巻機名水 」は超軟水と紹介され、また湯沢町の東隣の津南町では、超軟水の「津南の天然水」を販売しています。
このあたりの仕込み水は間違いなく超軟水のようですね。
WHO(世界保健機関)の基準では、硬度が0~60mg/l 未満を「軟水」、60~120mg/l 未満を「中程度の軟水」、120~180mg/l 未満を「硬水」、180mg/l以上を「非常な硬水」といいます。
っということで試しに超軟水の「津南の天然水」を飲んでみました。
硬度17mg/l なので、超軟水になります。
口に含んでみると、「柔らかい」と言う感覚が筆者でもわかります。
この超軟水で、あれほどの辛口純米酒が製造されるのは、筆者にとってはめっちゃ不思議な感覚になります。
なぜなら、京都伏見、神戸灘にならぶ3大酒処の一つ筆者の地元広島は軟水で、軟水の辛口はそれほど辛く感じないので、日本酒の奥深さの一つを感じました。
白瀧酒造 1855年(安政2年)創業
白瀧酒造は、1855年(安政2年)に創業された、JR越後湯沢駅近くにある老舗酒蔵で、雪国ならではの良質な水と米に恵まれた環境で、伝統的な手法を守りながら日本酒を醸造しています。
代表銘柄「上善如水」は、老子「水の如く最も善きものは、人々の役に立ちながら、争いを好まない」という言葉を由来としています。
澄み切った水の如き日本酒を注いでいきます。
火入れを行っていない生酒の香りはフレッシュな果実のような華や。
口に含むと、口当たりは滑らかで、いかにも純米酒な味が広がります。
そしてキレは良く、後味はすっきりと爽やかです。
白瀧は、新潟県産米のみを使用し、精米歩合70%で丁寧に醸造された純米酒です。
口当たりは柔らかく、しっかりとした米の旨味に、後味はすっきり。
飲み飽きない味わいでした。
高千代酒造 1868年(明治元年)創業
高千代酒造は、伝統的な酒造りにこだわりながらも、常に新しいことに挑戦し続けている酒蔵。
「純米大吟醸 一本〆」はフランスで開催された日本酒のコンクールでプラチナ賞を受賞しています。
高千代酒造の酒蔵銘柄「高千代」。
その中でも珍しい日本酒度+19「からくち純米酒+19」は超辛口で、辛口好きにはたまらないでしょう。
日本酒度とは日本酒の甘さや辛さを示す指標で、一般的にマイナスになればなるほど甘口、プラスになればなるほど辛口とされています。
一口吞んでみると、確かに辛い、いや超辛いです。
しかし辛いだけではなくて、味わいもしっかりしており、飲みごたえのある純米酒です。
高千代酒造は標高1967メートルの日本百名山の一つ「巻機山(まきはたやま)」の麓で豪雪地帯でもあり、雪どけ水が何十年も経って濾過された伏流水を「仕込み水」として使用しています。
その水質は軟水なんですが、「軟水は甘い」と筆者の固定概念がくつがえす「からくち純米酒+19」は超辛口でした。
「からくち純米酒+19」は、米の厚さ方向を削ることで、米表面に多く分布されるタンパク質を効率よく削ることが可能な精米方法・扁平精米の米を使用していることも特徴の一つです。
青木酒造 1717年(享保2年)創業
新潟県南魚沼市に本社を置く青木酒造株式会社は、1717年創業の老舗酒蔵で、魚沼川の伏流水と良質な酒米を使い、伝統的な手法で日本酒を醸造しています。
青木酒造の代表銘柄鶴齢の文字が、酒蔵に大きく掲げらていました。
日本酒の新酒ができる時期は一般的には12月~3月の日本で最も寒い時期。
従って冬季(12月~3月)限定商品が多くなる時期でもあり、しぼりたて純米酒生原酒 鶴齢もその一つです。
しぼりたて新酒のフレッシュ感を瓶の中にそのまま詰めたできたて新酒。
火入れを一切しない生原酒の特徴と言えるでしょう。
新酒ならではのフレッシュ&フルーティーな香りながら、生原酒ならではの力強いく芳醇な旨味のある辛口純米酒。
しぼりたて純米酒生原酒 鶴齢は、新酒ならではのフレッシュさと、原酒の濃厚さを兼ね備えた、日本酒好きにはたまらないお酒です。
ぜひ、冬季限定のこの機会に味わってほしい逸品です。
青木酒造にはもう一つ人気シリーズ「雪男」があります。
米の旨みを生かしながら、後味はシャープでキリッと引き締まる辛口純米酒。
江戸後期の鈴木牧之(すずきぼくし)著「北越雪譜(ほくえつせっぷ」に雪男が登場します。
雪男はとてもやさしく、「山中に現れ、旅人の弁当(にぎり飯)をもらい、御礼に荷物を担いで道案内をする毛むくじゃらで、山の精霊で旅人を助けてくれる優しいキャラ」として描かれています。
ちなみに鈴木牧之は青木酒造と血縁があるとのことです。
玉川酒造 1673年(寛文13年 )創業
玉川酒造には、天然の雪を特殊なシートで覆い、年間を通して大吟醸を低温貯蔵することができる雪中貯蔵庫があり、10分程度ですが酒蔵見学も可能です。
先述の3蔵は南魚沼市ですが、玉川酒造は魚沼市になります。
今回筆者が呑んだ「純米吟醸・越野雪蔵」は、仕込水に使用している雪解け伏流水(超軟水)の水の良さを存分に活かし、適度な酸味と軽快な味わいが特徴です。
適度な酸味があって、ワイン感覚で食前から食後まで楽しめる、呑み易いタイプの純米酒。
水の柔らかさを感じるスッキリと淡麗な味わいを感じる、グイっと吞みやすい純米吟醸でした。
まとめ・感想
日本屈指の米どころとして知られる新潟県は、良質な酒米と雪解け水という最高の環境で、個性豊かな日本酒が生み出されています。
今回は、白滝酒造、高千代酒造、青木酒造、玉川酒造4蔵の純米酒の吞み比べをしてみたわけですが、どれも素晴らしい飲みごたえのある純米酒でした。
飲み比べた銘柄の中では、特に「高千代」と「上善如水」が印象に残りました。
「高千代」は、超軟水の仕込み水の超辛口の中に、雑味のないクリアな味わいで、米本来の旨味が引き立てられていました。
「上善如水」は、しっかりとした旨味とキレがあり、吞みやすい純米酒でした。
南魚沼市・魚沼市には、まだまだ多くの魅力的な酒蔵があります。
訪れた際には、自分好みの純米酒を見つけてみてくださいね
おわり
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