太平洋に面した紀伊半島西側の和歌山県は、黒潮の恩恵を受け、多様な海の生き物が生息するダイビングスポットが点在する海の宝庫です。
筆者は2001年にダイビングライセンスを取得して以来、趣味で950ダイブ以上、仕事を含めると1,000ダイブ以上潜り、国内外を海を堪能しています。
2023年は12年ぶりに和歌山の海を潜り、その魅力を改めて実感しました。
今回はその魅力ある和歌山県のダイビングスポットの現状をまとめてみました。
和歌山の海の魅力と現状
黒潮の恩恵
和歌山の海の最大の魅力は、黒潮の恩恵をうけ、熱帯の海を満喫することができることです。
本州最南端の和歌山県潮岬の近くを黒潮が通りぬける為、熱帯・亜熱帯に生息する多くの生物が南方から流れてきます。
また南の海と同様のサンゴ群落が形成されており、世界でもっとも北にあるサンゴの海が和歌山県串本です。
串本町は、世界中の重要な湿地を保護するための国際条約・ラムサール条約登録の町となっています。
このように黒潮の恩恵を特に強く受けている和歌山県最南端の串本の海は、熱帯・亜熱帯の様な海の雰囲気がいたるところで感じることができます。
2017年8月から続く黒潮大蛇行の為、水温が低い
黒潮が東経136度~140度の間で北緯32度よりも南に大きく蛇行した状態を『黒潮大蛇行』と呼びます。
2023年11月26日現在、2017年8月からの大蛇行が継続中です。
黒潮大蛇行中は離岸が大きい紀伊半島沖では海水温が下降、関東から東海沖では黒潮が直撃し温度が上昇します。
筆写は2023年6~10月にかけて和歌山の海を潜りました。
通常であれば、6月中旬からはウエットスーツでも寒くない状況ですが、大蛇行の為、紀伊半島沿岸部では海水温が上昇せず、2023年7月でも海水温19℃代と寒い日があって大変でした。
また静岡では黒潮大蛇行が原因で、名産のシラスが不漁となっているようです。
2023年11月現在、黒潮大蛇行過去最長記録(4年8ヶ月)の更新を続けている為、残念ながら状況が変わる可能性は小さいでしょうね。
和歌山県ダイビングスポット
西側が和歌山県・東側が三重県と2県ある紀伊半島には、ダイビングスポットが点在しています。
黒潮の恩恵を最もうけるのは、紀伊半島最南端串本。
東側より、串本から西側の方が黒潮の恩恵が強いです。
筆者はそのうち、「みなべ・田辺」「南紀白浜」「すさみ」「串本」「紀伊大島・須江」の5ポイントを潜っています。
「串本」本州随一の南国感あふれる海
沖縄を感じさせる南国の魚やサンゴが多く、2023年7月9日にはサンゴの大産卵を観測できたそうです。
かと言って本州でおなじみの生物も豊富な上、外洋で大物や群れ、内海で小物と言った具合で、ワイドからマクロまで楽しめる海ですね。
写真は上手く撮れませんでしたが、6月にはハンマーヘッドシャークを観測しました。
またアオリイカの産卵を間近で観測でき、神秘的な世界につつまれました。
「紀伊大島・須江」紀伊半島唯一の離島ダイビング
紀伊大島・須江は筆者が知る限り、串本大橋で繋がってはいますが、紀伊半島(関西エリア)で唯一の離島ダイビングでしょう。
橋で繋がっているとは言え、小さな離島。
小さな集落しかなく、島時間を感じるのんびりした雰囲気があります。
ダイビングエリアである須江は、本州と島影によってどの風向きにも強く、他のダイビングエリアが北風でクローズになることの多い冬でも、須江はオープンしていることが多いです。
引用元:須江ダイビングセンターウェブサイトより
須江の見どころの一つは、冬季限定の内浦ビーチ。
内浦ビーチは定置網の関係で夏季は潜れませんが、10月~3月はダイビングポイントとして開放されます。
ビーチとは思えない群れがあり、マクロも楽しめるまさにスーパービーチ。
他のダイビングエリアでもビーチポイントはありますが、基本的に講習用もしくはナイトでって感じですが、思いっきりファンダイブを楽しめる関西一のビーチポイントと言えるでしょう。
「すさみ」 スサミブルーで群れ・地形が楽しめる
串本同様、すさみも外洋に面しているため黒潮の影響をうけやすく、透明度の良さと濃い魚影が魅力の海です。
そのすさみ町をダイバーの間でメジャーにしたのが「1994年開催の南紀熊野体験博で、すさみ町マリンスポーツフェスティバル実行委員会が設置した海中ポスト」で、2002年「世界一深いところにあるポスト」としてギネスブックに認定されています。
海中ポストはビーチポイントですが、基本はボートポイントを楽しみます。
黒潮があたった時のボートポイントは「スサミブルー」と呼ばれるほど、青く抜けています。
群れや地形を楽しめるダイナミックな海がすさみす。
ただすさみは外洋に面している分、風の影響を受けやすく、特に冬は波高やクローズが多いでしょう。
その分、エントリーできた時の楽しさも増していく海でしょう。
「南紀白浜」初心者にお勧めのダイビングエリア
南紀白浜は、大阪から特急電車や車で2時間強の近さから、関西随一のリゾート地を誇ります。
2001年筆者が本州で初めて潜った海が南紀白浜で、初心者ダイバーとしてスキルを磨きに通ったものです。
南紀白浜のポイントは比較的湾内になるので、透明度に関しては抜群とは言えないところはあります。
筆者は南紀白浜で複数のダイビングショップにお世話になっているのですが、潜水時間が短めな傾向を感じます。
筆者の経験では30~35分がほとんどで、エントリー後水底での集合から移動、安全停止を除くと,実際にダイビングを楽しんでいる時間は20~25分程度になります。
潜水時間に関しては一緒に潜るメンバーのスキルによって変化するのですが、筆者の経験上、他のエリアでは潜水時間45~60分が多く、南紀白浜で40分代を経験しておらず、たまたまかもしれませんが、そこが気になるところです。
南紀白浜は沈船や地形が楽しめるので、いきなりマクロなどマニアックな楽しみ方にはならないので、初心者にはうってつけのポイントだと筆者は思います。
「田辺・みなべ」光るイソギンチャクと青い海
田辺・みなべエリアの海の代名詞と言えば、光るイソギンチャクのオオカワリの群生。
筆者はまだ未経験ですが、いづれは見てみたいものです。
田辺・みなべのダイビングポイントは田辺湾の湾外にあります。
参照元:田辺ダイビングサービスウェブサイトより
その為潮当たりが良く、田辺ブルーと呼ばれる青さと魚影の濃さを楽しむことができます。
もちろんマクロも楽しめます。
大阪から車で約2時間程度で行ける近場なのに、見どころのあるクオリティの高いダイビングポイントです。
関西・中部圏以外のダイバーが遠征する価値は?
和歌山のダイビングポイントが素晴らしさが、少しは伝わったと思います。
がしかし、「関西・中部圏以外から遠征までして行った方がいい?」ときかれると、筆者は正直微妙に感じます。
関東には、伊豆半島、房総半島、三浦半島といったダイビングポイントがあり、関西にはない離島も小笠原諸島は別格としても、高速船なら日帰りも可能な伊豆大島を含め、八丈島などフェリーや飛行機で行ける離島があります。
中四国では日本海、高知の栢島、九州も離島を含めたダイビングスポットが多数あります。
そして南国の海と大物を狙うなら、沖縄になるでしょう。
ダイビングだけでは、「関西・中部圏以外の人は、わざわざ和歌山の海に行かなくても良い。」が筆者の考えになります。
ただ「観光を含めた旅行」と言う観点で和歌山の海に潜りに行くことを筆者はお勧めします。
和歌山は世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産がいたるところにある為、観光には事欠かないでしょう。
陸上も一緒に楽しむ3~4泊のプランで和歌山の海に潜りに行くのがベターだと考えます。
ちなみに筆者が東京在住時、飛行機で1度、高速バスで1度、計2度ほど串本に潜りに行っています。
ダイビングだけでwww
おわり
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