岡山の美作・備前地域には、素晴らしい酒蔵があります。
今回は田中酒造場、多胡本家酒造場、室町酒造、辻本店の4蔵元を巡り、特に印象的だったおすすめの地酒をご紹介します。
岡山の酒蔵巡りの魅力とともに、岡山県美作・備前地域の地酒の魅力をお伝えします。
では、飲んでみよう
美作市 田中酒造場
酒蔵
1885年(明治18年)創業の田中酒造場は、宮本武蔵生誕の地美作市にあります。
酒蔵の建物は、国の重要文化財に指定されてるそうです。
お酒の販売は酒蔵ではなく、国道373号線沿いの販売所になります。
日本酒の作り方の説明書的なのはよく見かけますが、この手作り感満載には親近感を感じます。
【武蔵の里】純米酒と生貯蔵酒 飲み比べ
田中酒造場の銘柄は「大原白梅」、「山王」、「宙狐(ちゅうこ)」、「武蔵の里」あり、スラムダンクが好きな人は「山王」に反応するかもしれませんねwww
武蔵生誕の地の酒蔵なので、筆者は「武蔵の里」を購入しました。
生貯蔵酒
火入れせずに低温貯蔵し、瓶詰め作業時にだけ火入れ処理をしている日本酒。
すっきりさらっとしており、冷やして飲む夏向けの生酒ですね。
山廃酛仕込 純米酒
長い日数をかけ、じっくり醸した 蔵ぐせが活きた山廃酛仕込みの純米酒は、旨味、酸味を感じるコクのあるお酒でした。
田中酒造場のお水は超軟水な為、やや辛口の割にはすっきりしており、お米の優しい甘味のある飲みやすいお酒が田中酒造場の特徴でしょう
田中酒造場のお酒はふるさと納税やアマゾン、楽天などで購入できます。
津山市 (株)多胡本家酒造場
酒蔵
江戸寛文年間(1661年〜1673年)創業の多胡本家酒造場は、岡山県北部の豊かな自然と清流に恵まれ、美味しい地酒を造っています。
酒蔵のそばを流れる加茂川の伏流水を汲み上げた仕込水と、蔵の庭に創業から植えられている「五葉(ごよう)」の松からの命名された【加茂五葉】が主要銘柄。
ただし銘柄では「ごよう」ではなく「いつは」と呼びます。
酒蔵で見かける歴代総理大臣の「國酒」の色紙。
1980年(昭和55年)1月5日の初閣議において、「日本酒は國酒。特に外国の客をもてなすときは、日本酒がいい。」と大平正芳首相が発言されたことを機に始まり、歴代総理大臣は、日本酒業界に向けて「國酒」と書いた色紙を贈呈します。
原本は日本酒造組合中央会にあるようで、蔵元に飾ってあるのはレプリカ。
蔵元が希望すれば、レプリカがもらえるそうです。
【はるしずく】数量限定・桃色の純米酒
多胡本家酒造場では日本酒の他、焼酎、ビール、リキュールなどいろんなお酒を造っていますが、特に珍しいのが春限定の「はるしずく」。
赤色清酒酵母を使用し、天然の桜色に発色した純米酒。
「はるしずく」はもろみを酒袋に入れ、圧力をかけずにつまり絞らずに、自然に垂れたしずくだけを集めた、加熱処理をしていない生酒。
ビン詰めされているとは言え「はるしずく」はまだ発酵中なので、開栓時は吹き出すので、ゆっくり開栓する必要があります。
お味の方は、うたい文句通り「爽やかな酸味とお米のやさしい旨味、13%の低アルコールで飲みやすいお酒」でした。
ただ少量生産のためすぐに売り切れになるので、この記事をアップしている頃は売切れになっているので、来年の購入になるでしょう。
多胡本家酒造場のお酒はふるさと納税やアマゾン、楽天などで購入できます。
赤磐市 室町酒造(株)
酒蔵
1688年(元禄元年)創業の室町酒造。
1891年(明治28年)「花房本家酒造」と名乗り、1951年(昭和26年)花房本家酒造から現在の「室町酒造株式会社」に改名しました。
明治時代、全国清酒品評会で重賞を重ねた室町酒造(当時は花房本家酒造)の評判を聞いた三越百貨店が発注しました。
その際、三越百貨店が東京都日本橋室町にあることから、三越百貨の手印(プライベートブランド)の酒として「室町(むろまち)」が生まれ、今でも、三越日本橋本店から注文があった時には、三越日本橋店専用室町ラベルを使用しているそうです。
しかし戦時中、他の蔵元に「室町」を商標登録を先にされ使用できなくなり、室町の前に櫻をつけ現在の銘柄「櫻室町」が誕生しました。
ただ2004年室町を取得した蔵元が廃業した為、室町酒造の元に「室町」の商標が戻ったそうです。
室町酒造は、映画「種をまく旅人」のロケ地でした。
【あらばしり一番】2018年と2023年飲み比べ
筆者は「焼酎、泡盛やワインは何年も保管ができるが、日本酒はできない」と認識していましたが、蔵元できちんと管理すれば、日本酒も何年も保管つまり古酒ができるそうです。
筆者は、雄町米100%無濾過生原酒2018年もの(古酒)と2023年もの(新酒)を購入しました。
2018年ものの製造年月日が2022年11月になっていますが、これには理由があります。
ト 表示基準5の(10)「製造時期」の表示について
(イ) 製造時期については、清酒を販売する目的をもって容器に充塡し密封した時期をいうのであるが、冷蔵等適切な貯蔵をした上で販売するものについては、その貯蔵を終了し販売する目的をもって製品化した日を製造時期として取り扱う。
引用元:国税庁ウェブサイト 第86条の6 酒類の表示の基準より
ざっくり言うと、「ラベルを張って販売すると意思表示」した時が「目的をもって製品化した製造時期」となり、その時が製造年月となるのです。
なので、左側は製造年が2018年だけど、ラベルを張ったのが2022年4月な為、製造年月が2022年11月になるのです。
そして飲み比べした感想は「全然味が違う」でした。
見た目の色も新酒に比べ古酒は色がついており、そこに年数を感じます。
そして古酒の舌触りが「めっちゃなめらか」ですね。
銘柄の「あらばしり」は日本酒をしぼったときに一番初めに出てくるお酒、そこに一番をつけてるので、よりしぼりたての生原酒であることは間違いないでしょう。
2023年ものは「純米酒の濃醇味わいと、若々しい粗削りな舌触りの新酒」に感じましたが、2018年ものは「なめらかで甘味がまし、深みのある生原酒」と感じました。
古酒になると価格が高くなるのが普通ですが、2018年の古酒でも、金額が2023年ものと同じなんですよ。
良心的だよね
室町酒造のお酒は、日本酒に適した「雄町米」を使用。
日本酒の米と言えば「山田錦」や「五百万石」ですが、「雄町米」と他の米を掛け合わせた品種で、「雄町米」は日本中でただ1種残された混血のない原型品種でもあります。
室町酒造のお酒はふるさと納税やアマゾン、楽天など購入できます。
真庭市 御前酒蔵元辻本店
酒蔵
1804年(文化元年)創業の辻本店。
杜氏は全国でも珍しい女性杜氏、辻 麻衣子さんは2007年(平成19)が酒造りを行っています。
酒蔵ではお酒の販売はしておらず、お酒の販売と食事処を、道を挟んで正面の建物で行っています。
酒蔵と販売・食事処の建物両方とも登録有形文化財に指定されています。
辻本店の日本酒は、ほぼ100%純米酒です。
以前は吟醸酒と本醸造も製造していましたが、辻 麻衣子さんが杜氏になってから、ほぼ純米酒のみになったそうです。
一般的に醸造アルコールが添加されていない、米だけの純米酒の方が「米のおいしさを引き出している」と言われており、筆者も純米酒を好んで飲んでいます。
仕込水は辻本店そばを流れる旭川の伏流水をくみ上げており、軟水ではあるものの、すっきり辛口の日本酒をつくっています。
辻本店は「男はつらいよ」のロケ地だったようです。
御酒印帳を提示すると、貼り付け用のラベルを貰える仕組みで、酒蔵めぐりを楽しむのアイテムになっています。
ただ全国全ての酒蔵ではなく、御酒印帳に参加している酒蔵のみになります。
【御前酒】利き比べ3本セット
銘柄・御前酒(ごぜんしゅ)の名前の由来は、美作勝山藩御用達の献上酒「御膳酒」からきています。
筆者は御前酒の「純米酒・美作」、「純米吟醸・如意山」、「辛口蔵出冷酒」の利き酒セットを購入しました。
「純米酒・美作」
雄町米100%の純米酒。
すっきりとした口あたりが、冷蔵庫で冷やすとさらに「さらさらした喉越しですっきり、さっぱり」としたのはうたい文句通り。
すっきり、さっぱりだけでなく、のみほした後に旨味が口の中に広がり、純米酒らしい味わいを感じます。
「純米吟醸・如意山」
原料米100%雄町米を55%まで磨いた純米吟醸。
純米酒・美作よりも純米酒を感じる香りとふくよかなな旨味の純米吟醸。
飲みやすさは「美作」で、米を感じるなら「如意山」かな
「辛口蔵出冷酒」
辛口蔵出冷酒のラベルの1升ビンを見かけないので、お店の方に聞くと、「辛口蔵出冷酒」は300mlでしか、用意されていないそうです。
原料米は岡山県産米使用とだけなので、雄町米100%ではないのでしょう。
米の旨味を感じる辛口タイプではありますが、さっぱり後味でキレが良く、辛口を感じさせない飲みやすい純米冷酒。
辻本店のお酒はふるさと納税やアマゾンなどで購入できます。
まとめ・感想
こんな感じで4酒蔵を訪れ、日本酒を購入し飲んでみたわけですが、結論は「どれも美味い!!」ってことですwww
どの酒蔵も仕込み水が軟水なので、辛口でも舌触りじゃ柔らかく、飲みやすい日本酒でした。
今回は紹介していませんが、どの酒蔵も日本酒1本ではなく、焼酎やリキュール、クラフトビールなどいろんなお酒を造っており、日本酒が苦手な人でも酒蔵めぐりを楽しめるお勧めの観光ショッピングですね。
おわり
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