香川県・琴平とその周辺には、古くから地元に愛されてきたうどん店や、全国的に名の知れた有名店が点在しています。
店構えも雰囲気もさまざまながら、どの一軒にも、香川ならではのうどん文化が息づいていました。
今回は、そんな琴平近郊を車でまわりながら、有名店とローカル店それぞれの魅力を味わった食べ歩きの一日。
讃岐うどんの多様さと奥深さに、あらためて惹きこまれました。
今回は、2025年4月から5月にかけて訪れた琴平近郊のうどん店各所を紹介します。
山越うどん
全国的な知名度を誇る讃岐うどんの名店「山越うどん」。
筆者がサラリーマン時代に香川へ出張していた頃、同僚から「香川に行くなら絶対寄るべき」と勧められていた一軒で、今回ようやく訪れることができました。

開店直後の朝9時台、曇天ながら行列はなく、すんなり駐車場に入れたのは幸運だったかもしれません。

開店直後の朝9時台、曇天ながら行列はなく、すんなり駐車場に入れたのは幸運だったかもしれません。
道路側から店内へ入り、まずは室内の通路を進みながらうどんを注文。

通路を進む導線に沿って、店内奥に設けられたベンチ席で食べられるようになっており、今回はその室内スペースで「かまたまやま」をいただきました。

飲食スペースはさらに中庭にも広がっていて、うどんを受け取った客が屋外に抜けていく一方通行のつくり。

庭を囲むように整備された座席では、すでに多くの先客が思い思いに箸を進めていました。

注文したのは、山越名物の「かまたまやま400円(税込)」こと、釜上げ玉子山かけうどん。

アツアツのうどんに生卵ととろろ、そしてネギがのった一杯。

麺の弾力と口当たりの良さ、とろりとした具材の組み合わせ。
相性抜群の組み合わせに、あっという間に食べきってしまいました。

観光シーズンや昼どきには、県外からの客が長い行列をつくることもある人気店。
一度は訪れてほしいうどん店です。
灸まんうどん
こんぴらさん表参道から車でおよそ5分、善通寺方面へ抜ける県道沿いにあるのが「灸まんうどん」。
灸まんうどんは、こんぴらさん表参道に店を構える「灸まん本舗 石段や」が運営しているうどん屋。
「灸まん」とは、灸の形を模した饅頭で、こんぴら土産として親しまれています。

筆者が入店したのは16:30。
多くのうどん店が昼営業のみのなか、17:00まで開いている点はとてもありがたく、観光客だけでなく地元の人にも重宝されていそうです。

この日、筆者が注文したのは「ぶっかけうどん(480円税込)」とおでん。
うどん、おでんともにセルフ形式で注文し、全て揃ったあとに清算します。
おでんはこんにゃくと玉子を1本ずつ、どちらも1本120円です。

おでん用の味噌だれは、甘辛くとろみのあるタイプ。
味噌はこんにゃくや玉子にたっぷりかけてもくどくならない、ほどよい甘さとコクが感じられました。

ぶっかけうどんは、つやのある中太麺にネギがのったシンプルな一杯。
天かすやおろしショウガは受け渡し後、薬味コーナーで好みに応じて自分で加える仕組みになっています。

うどん480円(税込)

麺は冷水でしっかり締められており、歯ごたえ・コシともに十分。

観光地価格を意識してか、うどんもおでんも非常にリーズナブルで、「さっと食べてさっと出る」ような使い勝手のよさも、この店の魅力のひとつです。
手打ちうどん つよ志
こんぴらさん表参道から車で約15分ほど、県道沿いにある「手打ちうどん つよ志」。

筆者が訪れたのは朝8:30頃。
手打ちうどん つよ志は朝7:00から営業しており、出勤前や朝の観光途中に立ち寄るのにもってこいの立地です。
ただし、閉店は14:00と早め。
昼以降の訪問を考えている方は注意が必要でしょう。
そして店内に入ると正面に天ぷらやおにぎりのコーナーがあり、まずそちらで好みの品を選びます。
そのあと、レジ前でうどんを注文するセルフ形式になっています。

うどんメニューは、「小」が1玉、「中」が2玉、「大」は3玉。
そして、価格はかなりリーズナブル。
かけうどん小が330円(税込)というのは、もはや驚くほどの安さです。

この日、筆者は「ぶっかけうどん(小・温)400円」に、トッピングで「きつねあげ(130円)」を注文。
レモンと大根おろしが乗ったうどんの上に、大きなきつねあげをのせた状態で受け取りました。

麺は平打ちの太麺で、しっかりとしたもっちり感。
ほどよい温かさと弾力があり、やわらかすぎずコシも備えた、のどごしの良い仕上がりです。

天かす、ネギ、おろし生姜は薬味コーナーに置かれており、好みに応じて自分でトッピングします。

きつねあげの上から、さらに天かす、ネギ、おろし生姜を加えた姿がこちら。
とても530円とは思えないボリューム感です。

もちろん味も申し分なく、出汁は県内の有名店「さか枝うどん」のレシピを参考に、香川県の伝統的な魚醤「いかなご醤油」を加えて調整されたもの。
この「いかなご醤油」は手間と時間のかかる調味料で、今ではあまり見かけなくなった希少な存在です。
店ではこの醤油を自家製で調合しているそうで、ほんのりとした甘みとまろやかさがあり、うどんの味にやさしく寄り添ってくれます。
店内にはテーブル席のほか、座敷も用意されています。


手打ちうどん つよ志のうどんは、見た目こそシンプルながら、手間のかかった出汁と確かな麺の実力を感じさせる一杯。
地元に根ざした、飾らない良店でした。
山下うどん
こんぴらさん表参道から車でおよそ15分、田園地帯の中にぽつんと建つ「山下うどん」。
観音寺市と丸亀市の中間に位置し、地元客はもちろん、県外からのうどん巡礼者にも広く知られた一軒です。

駐車場は広々としており、行楽シーズンでも比較的安心して訪問できます。

筆者が訪れたのは2025年5月初旬の11:30頃。
店内はひと息つく間もないほどの盛況ぶりでした。
暖簾をくぐると、注文カウンターがあらわれます。
手前にはおにぎりや天ぷらがずらりと並び、その奥では職人が次々と麺を茹で上げています。

メニューは壁面に掲示されており、「小」が1玉、「中」が2玉、「大」は3玉。
そして価格は筆者が知る限り一番安いのでは?
かけうどん小310円、ぶっかけうどん小330円など、のきなみ300円台が並びます。

今回筆者は、「ぶっかけうどん(小)330円(税込)」と「おでん(厚揚げ)130円(税込)」を注文しました。

ぶっかけうどんは、艶のあるやや平たい中太麺に、レモン・天かす・ネギがのった爽やかな一杯。
いりこ出汁がベースのつゆはすっきりとした塩味で、麺のうまみを引き立ててくれます。

のどごしの良いツルツル感、そして讃岐うどんらしいコシもしっかりとあり、食べごたえがある麺です。

店内のお土産コーナーでは店舗限定商品もあり、観光客にもうれしいラインナップです。

山下うどんは「ぶっかけうどんの元祖」とも言われる店。
うどん巡りをするなら、ここの一杯は外せませんね。
麵処綿谷丸亀店
こんぴらさん表参道から車でおよそ30分、丸亀駅から徒歩約10分のところにある「麺処 綿谷 丸亀店」。
綿谷を知ったきっかけは、リゾートバイト先の同僚が「今まで食べたうどんの中で一番うまい。ぜひ行ってほしい」と強く推していたことでした。

訪れたのは平日の朝9時半ごろ。店内はすでににぎわっており、客層は地元の人が中心。
もしかすると観光客らしき1組も見かけました。
注文カウンターは、香川県のうどん店ではおなじみのセルフスタイル。
入ってすぐの注文口でうどんをオーダーし、横に並ぶ棚から天ぷらやおにぎりを取り、最後にうどんを受け取ってレジでまとめて会計する流れです。

筆者が注文したのは「スペシャルぶっかけ(温)650円(税込)」。
ぶっかけうどんに牛肉・豚肉・温玉・ネギ・ワカメそしてセルフトッピングの天かすを加えて、見た目にも迫力満点に仕上がり。

濃いめのだしが全体にしっかりと行き渡り、コシのあるうどんと具材のバランスもよく、食べごたえのある一杯。

同僚の言葉に納得。
思わずもう一度食べたくなる、そんなスペシャルぶっかけでした。
以下に、これまでご紹介した各店舗の基本情報をまとめました。各項目は公式情報や信頼性の高い情報源に基づいています。
店舗情報まとめ
山越うどん
- 住所:香川県綾歌郡綾川町羽床上602-2
- 電話番号:087-878-0420
- 営業時間:9:00~13:30(麺がなくなり次第終了)
- 定休日:日曜日 水曜日
灸まんうどん
- 住所:〒765-0052 香川県善通寺市大麻町388
- 電話番号:0877-73-3751
- 営業時間:10:00~17:00
- 定休日:木曜日
手打ちうどん つよ志
- 住所:〒761-2402 香川県丸亀市綾歌町岡田下528−2
- 電話番号:0877-75-0002
- 営業時間:7:00~14:00
- 定休日:月曜日

山下うどん
- 住所:香川県善通寺市与北町284-1
- 電話番号:0877-62-6882
- 営業時間:9:30~16:00(麺がなくなり次第終了)
- 定休日:火曜日

麺処 綿谷 丸亀店
- 住所:香川県丸亀市北平山町2-6-18
- 電話番号:0877-21-1955
- 営業時間:8:30~14:30
- 定休日:日曜日・祝祭日

まとめ・感想
香川県を訪れるたびに思うのは、うどんのバリエーションの豊かさ。
今回巡った山越・つよ志・灸まん・山下・綿谷の5軒も、それぞれに個性があり、同じ「ぶっかけうどん」でも店ごとの違いがはっきりと感じられます。
名の知れた人気店から、地元で日常的に親しまれている店まで──立地や雰囲気、価格帯もさまざまで、訪れる時間帯や旅のスタイルによって選び方が変わってくるのもおもしろい。
どの店にも、自分の好みに合った一杯を見つける楽しさがあり、うどん巡りの奥深さをあらためて実感しました。
おわり
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