2021年10月15日、広島県東広島市での「吟ずる者たち」公開記念先行特別上映会(有料)に行ってきました。
主演:比嘉愛未、中村俊介。
明治時代の実在の人物である広島が生んだ醸造酒の父・三浦仙三郎と現代の蔵元のそれぞれの時代で、日本酒造りの情熱を通して人間模様や家族愛、成長描いたヒューマンドラマ。
撮影地はもちろん、油谷誠至監督・竹本克明プロデューサーをはじめ多くのスッタフキャストが広島出身で、広島にこだわった映画なので、日本三大酒処の一つ広島から2011年11月05日に 先行上映 されることになりました。
あらすじ
比嘉愛未演じる主人公・永峰明日香は東京で夢破れ、東広島市安芸津の実家に帰ります。
実家は 中村俊介演じる醸造酒の父・三浦仙三郎 の杜氏の末裔が継いだ酒蔵で、明日香は幼い頃から酒造りが好きでしたが、養女であるを知って(実際の父親は現父の弟で、両親は明日香が幼い頃他界)、実の息子である弟もいることから、酒造りと距離を置くことに。
三浦仙三郎の代名詞「百試千改~百回試して千回直す」の言葉に 酒造りの心がくすぶり、その後父が倒れ、父の手帳と三浦仙三郎の手記に目を通して、素直な気持ちが芽生え始めました。
明日香が目にした父の手帳には日常の記録の他、「明日香と一緒に酒を造る」と「追花心」と記してありました。
「花心」は仙三郎が全国清酒品評会で優等賞を受賞した日本酒であり、「追」がつくことで父は何かを求めていたようでした。
一方、仙三郎の手記にも、吟醸酒の製造に関する記録が細かく記載されており、そこには両親、姉、弟が次々と亡くなり、最後は幼い養女まで亡くなったことも。
養生の死に仙三郎の妻は「あなたの身体はまだまだ元気です。子供のできない私と離縁してほしい。」と訴えるが、「子供はあの娘(こ)だけでよい。親の気持ちを十分に教えてもらった。」、「妻は生涯お前ひとりだけじゃ。」と言い、夫婦の絆が強くなっていきます。
その後、全国清酒品評会で優等賞を受賞した「花心」を 夫婦飲み、仙三郎は「この花心はあの娘じゃ」と言う。
明日香は自分と同じ養女と父の境遇と重なって、手記に涙ぐみ、ついに父が求めていた「追花心」を完成する為に「酒造りをする」と決意しました。
三浦仙三郎~ 百試千改で軟水醸造法を生み出す
三浦仙三郎は庄屋を弟たちに譲り、酒造りを始めました。
映画では「悪い米(だった気がします)を買い取って酒造りをしている。おかげで農家は喜んでいる。」とありました。(少し記憶が曖昧なんですがw)
要は「不要な米を買い取ることで農家」が、「酒造りで杜」が、「美味い酒が売れることでお店のみんな」が、最後は「広島のみんな」が喜んでくれるという「人の為」と言う信念で酒造りを始めました。
当時の広島の酒は 神戸・灘、京都・伏見 には遠く及ばず、仙三郎の酒蔵は醸造中に中の酒が腐る「腐造」に何度も見舞われて、まともな酒が造れていませんでした。
しかし 衛生面や温度管理の他、神戸・灘と京都・伏見は硬水、広島は軟水の違いに気づき、改良を続けていきます。
「百試千改~百回試して千回直す」の不屈の闘志 で「軟水醸造法」完成し、仙三郎の日本酒ができたのは、酒造りを始めてから8年後のことです。
映画にはありませんが、仙三郎は「 軟水醸造法」を広島の酒蔵に惜しげもなく伝え、1907年(明治40年)全国清酒品評会や1911年(明治44年)第一回全国新酒鑑評会では広島の日本酒が上位を占めました。
そしてこの時から広島は、神戸・灘、京都・伏見とならんで日本三大酒処となりました。
その後も仙三郎は 「 軟水醸造法」を全国の酒蔵に伝え続けていきました。
上映スケジュール
2011年11月05日(金)から広島県の4ヶ所で先行上映の予定です。
- 広島市「八丁座」
- 東広島市「T・ジョイ東広島」
- 呉市「呉ポポロシアター」
- 福山市「福山駅前シネマモード」
感想
日本酒造りの映画ですが、テクニカルな知識の部分より、モノづくりの姿勢や家族愛と人の為など人間模様と成長のフォーカスした、ヒューマンドラマ映画でした。
明日香の現代と三浦仙三郎の時代のシーンが交互にでてきますか、目が回ることなく、ゆっくり落ち着いて見ることができました。
映画にもありましたが、「軟水での仕込みは時間をかけてゆっくり」なので、その雰囲気が出ていたのかもしれません。
8年踏ん張った三浦仙三郎の「百試千改」は、目まぐるしく変化の速い現代でそぐわないかもしれませんが、モノづくりと言うものは「信念と時間」だと改めて感じました。
あと一つ加えるなら、資金もですねw
三浦仙三郎は資金難でしたが、映画の製作も資金難でした。
吟ずる者たちも資金難で約2年ストップしていましたしw
ただ 「百試千改」の気持ちで、資金難を乗り越え、上映まであともう少しです。
もし現在、難局に立ち向かっている人には、お勧めの映画だと思いますよ。
もちろん日本酒すきにもね。
おまけ
広島の各酒蔵から公開記念ボトルが販売されています。
各酒蔵で味や特徴が異なります。
「特徴の冷でも燗でもグイグイと飲める食中酒として最適」とあったので、食事のともとして亀齢酒造に決めました。
おわり
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