山口県の地酒はフランスを中心にヨーロッパで人気の獺祭(岩国)をはじめ、東洋美人(萩)、貴(宇部)など日本酒好きには、地酒の宝庫としてしられています。
山口県内で岩国と萩に酒蔵が集中していますが、「美味しい水、豊かな自然に囲まれ、寒暖の差が激しく米の味が良い」ことから、山口県内で広く日本酒が製造されています。
また山口県の老舗温泉街「湯田温泉」では、山口県内の約20蔵が集まる「湯田温泉酒まつり」が開催されるなど、意外と日本酒が盛んな酒どころです。
2023年1月現在萩市でリゾバ中の筆者、美味い地酒を造っている酒蔵巡りをしたので、紹介します。
さぁ、食べにいこう
【萩・阿武6蔵】地理的表示(GI)認定
萩市の5蔵(岩崎酒造 / 岡崎酒造場 / 澄川酒造場 / 中村酒造 / 八千代酒造)と阿武町1蔵(阿武の鶴酒造)の計6蔵は地域ブランドを保護する制度【地理的表示(GI)】に指定されています。
地理的表示(GI)保護制度
引用元:農林水産省ウェブサイトより
「地理的表示保護制度」は、その地域ならではの自然的、人文的、社会的な要因の中で育まれてきた品質、社会的評価等の特性を有する産品の名称を、地域の知的財産として保護する制度です。
G1認定された2021年3月当時、酒類では全国15例目(2023年1月現在20例)、中国四国地方では初めての指定です。
「地理的表示(GI)って何ぞや?」ってなりますよね。
地理的表示GI(Geographical Indication)とは、国際的な知的財産権のひとつです。
例えば、「シャンパンとスパーリングワイン」の違いですが、スパークリングワインとは発泡性ワインすべてを指します。
ただ、フランスのシャンパーニュ地方で造られ、フランスのワインの法律(AOC法:原産地呼称管理法)で定められた条件をすべて満たしたスパークリングワインのみをシャンパンと呼びます。
つまり、シャンパンはブランド名なわけです。
それが近年、発泡性ワインことスパーリングワインをシャンパンと認識されるなどで、ブランドが損なわれる状況になる恐れがでてきたことから、国際的な知的財産として地理的表示GI(Geographical Indication)が生まれました。
日本酒も「他国で日本酒を造って、日本酒を販売。それが本場の日本酒となる。」とそりゃぁまずいですよね。
なので日本酒もG1認定し、世界中にブランドの意思を確立しました。
詳しくは「日本酒を蔵元を旅するポータルサイト」に分かりやすく記載されています。
澄川酒造場 東洋美人
1921年(大正10年)創業の澄川酒造。
代表銘柄は東洋美人。
澄川酒造の水は軟水で、柔らかな味わいの東洋美人にはぴったり。
2つの純米酒もそのやさしさを感じる味わいがありました。
東洋美人 純米大吟醸 180ml
米と米麹、水のみを使用の純米酒のうち、精米歩合が50%以下が純米大吟醸。
180ml瓶は酒蔵でしか販売していないサイズです。
純米大吟醸ならではの、米の旨味とコク、吟醸造りが生み出す吟醸香。
甘くてフルーティーな純米大吟醸でした。
ちなみに吟醸造りとは、よく磨いた米を10度前後の低温で長時間かけて発酵させる製法で、果実のような特有の「吟醸香」をもつように醸造します。
東洋美人 醇道一途 300ml
300ml瓶は山口県内のみ卸しているサイズ。
県外ではお目にかかる確率が非常に低いようです。
純米大吟醸と比べ滑らかさは少し落ちるものの、米の旨味が濃厚で、香りでひかえめで飲み心地が良い純米酒。
滑らかすぎない舌触り方が、「ザ純米酒」って感じで好まれる方も多いのではないしょうかね。
澄川酒造の東洋美人は「ふるさと納税」の返礼品、「通販」の両方にありますが、「ふるさと納税」の方は少し変わっています。
地域商社やまぐち株式会社と共同開発したこだわりの純米大吟醸「東洋の女神720ml」が返礼品となっています。
八千代酒造 八千代
1887年(明治20年)創業の八千代酒造。
主要銘柄は八千代。
日本酒は3段仕込みが一般的ですが、八千代酒造は4段仕込みが特徴の一つ。
四段仕込み以上は単純に仕込みの回数を増やすということではなく、三段仕込みが終わった後に蒸米を加えるので、蒸米のデンプンから変化した糖が多く、糖分のまま日本酒に残るため、仕込みの回数が多ければ多いほど、甘みのある日本酒になります。
八千代酒造の水は硬水で、若干辛口よりの日本酒のようですが、辛口ブームの時には甘いと言われていたそうです。
もしかしたら四段仕込みだからかもしれませんね。
純米酒 活性にごり酒(生)四段仕込み
ラベルがカバ、それには理由があります。
スペインカタルーニャ地方で造られるスパーリングワイン(発泡酒)をカヴァと呼び、八千代酒造ご一家の苗字が蒲(カバ)をかけて、カバのラベルにされたそうです。
イラストの細かいところをみると、ネコが櫂棒を持ってかき混ぜていますw
活性にごり酒は酵母が活動できる状態で瓶に詰められている為、膨張防止の為、フタは空気が抜けるように細工されています。
ゆっくり栓を抜きましたが、けっこう吹き出しました。
いかにも「にごり酒」っていう面構えwww
最初の一口で「純米酒」って感じで米を感じ、まったりとした口当たりと力強い味わいは「にごり酒」。
常に発酵し続けることで、飲むタイミングによって絶妙な味の変化を楽しめるのも魅力です。
なので数日後の味が楽しみでもあります。
蔵出し原酒 八千代
原材料に醸造アルコール・糖類があるので、もちろん純米酒ではありませんw
割水前だからアルコール度数も高く20度以上21度未満。
将来どの銘柄になる予定だったのか、想像しながら飲むのが原酒の面白さの一つかもしれません。
口に含むと原酒ならではの、ガツンと日本酒がせめてきました。
ただ後から濃厚な味わいと甘味がやってきました。
硬水・辛口系の四段仕込みの原酒は、なめらかな舌触りで、アルコール度数が高めだけど飲みやすい原酒でした。
店頭にいらっしゃった方はおそらく奥様、丁寧な対応でほっこりする酒蔵でした。
八千代酒造の日本酒はふるさと納税の返礼品にはありませんでいたが、通販では購入できます。
岡崎酒造場 長門峡
1924年(大正13年)創業の岡崎酒造場。
代表銘柄は長門峡。
阿武川の清流で育まれた水(軟水)の美味しい日本酒を造っている酒蔵。
川上地域には国の天然記念物に指定されたユズの自生地があり、その川上の柚子を使用した「柚子リキュール」なども開発しています。
長門峡 ささにごり純米酒
岡崎酒造のウエブサイトで「季節限定酒」として販売されている「ささにごり特別純米」。
毎年3月より発売開始予定ですが、2023年01月時点で販売されていました。
「にごり」とついているので「にごり酒」の一種かもしれませんが、にごり酒には見えません。
ただ、特別純米酒の滓部分を詰めているので、にごり酒なのでしょうね。
滓部分だけど強いクセは感じられず、旨味と香りがよく
濃厚な味わいです。
岡崎酒造の日本酒は筆者が利用しているふるさと納税サイト「さとふる」にはありませんでしたが、ふるさとチョイスと楽天通販ではありました。
酒蔵から20Km弱離れたところに銘柄の長門峡。
時間が許せば、行かれることをお勧めします。
まとめ・感想
山口県は酒蔵が意外と多くありますが、家族で運営されている比較的小さな酒蔵がメインです。
岩国の獺祭を造っている旭酒造は別格かもしれませんが。
ただ小さな酒蔵にもかかわらず、美味い日本酒と言うことで、近年は山口県の地酒が注目されているそうです。
ちなみに地酒を定義は「全国的に流通するメーカーの製品や、日本酒の主生産地である兵庫県の灘や京都府の伏見以外で造られる日本酒のこと」と言われています。
三大酒処と言えば、京都・伏見、神戸・灘、広島・西条ですが、広島・西条は地酒に振り分けられてます。
今回、筆者は3蔵5銘柄を飲んでみましたが、どれも飲みやすい日本酒でした。
萩は魚介類の美味しいところなので、地酒と地魚で地産を味わえるのにお勧めです。
おわり
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