宿場町は、まるでタイムスリップしたかのような雰囲気がありませんか?
大名の参勤交代や旅人、商人が行き交い、活気に満ちた江戸時代の宿場町の古い街並みや建造物は、歴史の足跡を感じさせ、昔の時代の息吹を伝えているのかもしれません。
今回は、筆者が訪れた中国山地に広がる宿場町【智頭宿・大原宿・城下町勝山】の魅力を紹介します。
では、行ってみよう
中国山地の宿場町の存在や保存状況
瀬戸内海側の山陽地方と日本海側の山陰地方を隔てる、本州西部の中国地方東西に伸びる中国山地は、多くの宿場町が残っています。
江戸時代には、日本海側の島根県や鳥取県から瀬戸内海側へ抜ける街道がいくつか存在し、それぞれの街道には宿場町が形成されました。
しかし、瀬戸内海側や太平洋側の宿場町は、開発や太平洋戦争の空襲などの影響で、昔ながらの姿を残している場所は少なくなっています。
一方で、中国山地の山間部は開発や空襲の被害が比較的少なかったため、昔ながらの宿場町が多く残っている傾向があります。
このような背景から、中国山地の宿場町は歴史的な姿や風景を多数保持しており、時代を感じる旅を楽しむことができます。
宿場町が残る瀬戸内海と日本海を結ぶ脇街道
宿場町と言えば、東海道を思い浮かべる人が多いのではないでしょか?
東海道を含め、中山道、日光街道、奥州街道、甲州街道の五街道(ごかいどう)は、江戸時代の江戸・日本橋を起点に幕府が管轄した道路。
「五街道の標準幅員は約9m」「道脇は水が流れるようにする」「水溜まりや泥濘の所は砂石で敷き固める」などの整備のマニュアルみたいなものがあったようで、今で言う国道と言ってもいいでしょう。
現在は「東海道は国道1号」、「中山道は国道17号・国道18号・国道142号・国道20号・国道19号・国道21号・国道8号」、「日光街道は国道4号と国道119号」、「奥州街道は国道4号、甲州街道は国道20号」となっています。
街道に対し脇街道と言う道路があります。
脇街道は「五街道」以外の街道で、五街道同様に街道沿いに商業集落や宿場町が発展。
山陽道や山陰道がそれにあたり、さらに山陽道と山陰道を結ぶ脇街道があり、今回紹介する宿場町は、因幡街道(いなばかいどう)と出雲街道(いずもかいどう)にあります。
因幡街道は播磨国姫路(兵庫県姫路市)を始点として、因幡国鳥取(鳥取県鳥取市)結び、出雲街道は主に播磨国姫路(兵庫県姫路市)を始点として、出雲国松江(島根県松江市)を結んでいます。
五街道や山陽道に比べ、交通量は少ないですが、そこは地方の幹線道路。
街道沿いに商業施設や宿場町が発展していきました。
電車で巡れる宿場町 智頭宿-大原宿-勝山
宿場町は交通の要所にあるので、車で行く分には便利な場所にありますが、電車だと必ずしも簡単に行けるとは限りません。
しかし今回筆者が巡った3ヶ所の宿場町・智頭宿、大原宿、勝山は、電車の駅から徒歩圏内にあります。
智頭宿、大原宿は智頭急行で行け、最寄りの駅もそれぞれ「智頭」、「大原」は、「特急スーパーはくと」、「特急スーパーいなば」の停車駅でもあります。
勝山の最寄り駅JR姫新線「中国勝山」駅へは、智頭急行作用駅からJRに乗り換えができます。
他に智頭駅からJR因美線で津山に行き、姫新線に乗り換えることもできます。
電車で巡れる宿場町なので、電車旅が好きな方でも行きやすい宿場町ですね。
智頭宿:鳥取県八頭郡智頭町
鳥取県八頭郡智頭町にある宿場町・智頭宿は、因幡街道の宿場町として栄えた歴史があり、現在でも当時の面影を残す町並みが残っています。
智頭宿は、鳥取県八頭郡智頭町にある江戸時代の宿場町で、智頭往来と備前街道が合流する地にあり(両方合わせて因幡街道)、参勤交代の道として栄えた脇街道の一つ。
智頭宿には、石谷家住宅、塩屋出店、西河克己映画記念館などの史跡や観光スポットがあります。
石谷家住宅
石谷家住宅は、江戸時代に建てられた豪商の屋敷で、国の重要文化財に指定されており、当時の豪商の暮らしぶりを垣間見ることができる貴重な資料です。
塩屋出店
主屋、洋館、外塀、納屋が登録有形文化財で、江戸時代に作られた町屋で、当時の商人の暮らしぶりを垣間見ることできます。
西河克己映画記念館
塩屋出店の洋館部分を洋館は智頭町出身の映画監督・西河克己さんの功績を紹介する「西河克己映画記念館」となっています。
塩屋出店の中庭にあるため、中庭に建つ洋館は不思議なおもむきを感じますね。
智頭は林業で栄えた町で、杉の町と呼ばれています。
智頭宿にが杉玉工房があり、町おこしのような感じで、一般の家にも杉玉がかざられており、何となく癒されますwww
智頭宿へは、JRと車の両方でアクセスでき、JR智頭駅から徒歩で約15分。
車の場合は、鳥取自動車道の智頭ICから国道373号線を経由して約15分で、無料駐車場もあります。
智頭宿には、江戸時代から続く酒蔵「諏訪酒造」があり、試飲をすることができます。
智頭宿では、雪灯篭や手作り提灯で智頭宿全体が幻想的な灯りに包まれる雪まつりが毎年2月に開催されるので、冬の蟹シーズンに鳥取に行った時など、訪れるのもいいでしょうね。
大原宿:岡山県美作市
大原宿は、かつて美作国吉野郡大原(現在の岡山県美作市)にあった因幡街道の宿場で、江戸時代には鳥取藩主の江戸参勤の道となり、宿場町として栄えました。
1986年(昭和61年)「岡山県町並み保存地区」に指定され、他に「おかやま歴史の旅百選」「新日本歩く道紀行100選」にも認定されています。
大原宿は、同じく因幡街道の宿場町である、鳥取県智頭町の”智頭宿”と、兵庫県佐用町の”平福宿”とともに「因幡街道三宿場町」と呼ばれています。
大原本陣
江戸時代に鳥取藩主・池田候が参勤交代の途中、宿泊した施設・大原本陣は、数寄屋造りの御殿と御成門が今なおその姿をとどめ、約200年前の本陣の移行を今日まで残している数少ない本陣です。
脇本陣
本陣に殿様が宿泊した際の、家老が宿泊した施設が脇本陣。
いつの世も上司と部下には宿泊施設の差があるものですwww
田中酒造
主要銘柄「武蔵の里」と言う美味い日本酒を造っている酒蔵。
反対側の国道沿の直売所でお酒を販売しており、因幡街道側の町屋からは中に入れませんが、今なおこの酒蔵で酒造りをしています。
大原宿へのアクセスは、智頭急行大原駅から徒歩5分、鳥取自動車道大原ICより3分と便利で、無料駐車場もあります。
また「宮本武蔵生誕の地」が近くなので、合わせて観光するのがいいでしょう。
勝山城下町 岡山県真庭市
1985年(昭和60年)、岡山県初の町並み保存地区に指定された「勝山町並み保存地区」は、岡山県真庭市にある江戸時代の面影を残す町並みで、白壁の土蔵や格子窓の商家が立ち並び、昔ながらの風情を漂わせています。
勝山町並み保存地区は、江戸時代には、美作勝山藩の藩庁が置かれており、藩主は三浦家で1万石の城主。
出雲街道が通る宿場町ですが、城下町でもあります。
のれんが彩る城下町「勝山町並み保存地区」
勝山町並み保存地区は「のれんの町」としても知られており、町並みには、カラフルで個性的なのれんが軒を連ねており、見ているだけでも楽しい、人気の観光スポットです。
神社仏閣が多い
勝山町並み保存地区が江戸時代に作られた城下町にある為、城主の氏神である神社や、城主の菩提寺である寺院があります。
城下町の歴史を物語る神社仏閣が数多く残っているのが、宿場町だけでなく城下町の風情を感じます。
勝山町並み保存地区内には、いくつかのカフェやレストランもあり、筆者は酒蔵直営のレストラン西蔵でランチを頂きました。
勝山町並み保存地区へのアクセスは、電車ではJR姫新線「中国勝山駅」から徒歩約5分、車では米子自動車道久世ICから約15分または、中国自動車道落合ICから約20分で、勝山町並み保存地区内には、無料駐車場もあります。
歴史と伝統が息づく町並みで、のれんを眺めながら町並みを散策したり、勝山の歴史や文化を学んだりするなど、充実した時間を過ごすことができるでしょう。
まとめ・感想
智頭宿、大原宿、勝山町並み保存地区と3ヶ所の宿場町には、それぞれの宿場町に独自の魅力があり、とても楽しく観光できました。
お土産屋さんや食事処がたくさんあり、食べ歩きも楽しめ、宿場町の風景を眺めながら散策するのも気持ち良かったです。
そして3ヶ所には共通するところもありました。
それは、3ヶ所とも酒蔵があったことです。
人が集まる宿場町なので、お酒を飲む人も大勢いたのでしょうねwww
宿場町は日本の歴史と文化を学ぶのに最適な場所。
都会の喧噪を忘れて、ゆっくりと過ごしたい方にもおすすめの場所ですね。
おわり
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