2024年10月現在、日本の世界遺産数は26。
建物など複数で一つの世界遺産となっているものが多いので、構成資産数(表現が適切かはわかりませんが)は相当な数あるでしょう。
1 | 法隆寺地域の仏教建造物 | 奈良県 | 1993年(平成5年) |
2 | 姫路城 | 兵庫県 | 1993年(平成5年) |
3 | 屋久島 | 鹿児島県 | 1993年(平成5年) |
4 | 白神山地 | 青森県・秋田県 | 1993年(平成5年) |
5 | 古都京都の文化財(京都市、宇治市、大津市) | 京都府・滋賀県 | 1994年(平成6年) |
6 | 白川郷・五箇山の合掌造り集落 | 岐阜県・富山県 | 1995年(平成7年) |
7 | 原爆ドーム | 広島県 | 1996年(平成8年) |
8 | 厳島神社 | 広島県 | 1996年(平成8年) |
9 | 古都奈良の文化財 | 奈良県 | 1998年(平成10年) |
10 | 日光の社寺 | 栃木県 | 1999年(平成11年) |
11 | 琉球王国のグスク及び関連遺産群 | 沖縄県 | 2000年(平成12年) |
12 | 紀伊山地の霊場と参詣道 | 三重県・奈良県・和歌山県 | 2004年(平成16年) |
13 | 知床 | 北海道 | 2005年(平成17年) |
14 | 石見銀山遺跡とその文化的景観 | 島根県 | 2007年(平成19年) |
15 | 小笠原諸島 | 東京都 | 2011年(平成23年) |
16 | 平泉‐仏国土(浄土)を表す建築・庭園及び考古学的遺跡群‐ | 岩手県 | 2011年(平成23年) |
17 | 富士山‐信仰の対象と芸術の源泉‐ | 山梨県・静岡県 | 2013年(平成25年) |
18 | 富岡製糸場と絹産業遺産群 | 群馬県 | 2014年(平成26年) |
19 | 明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業 | 福岡県・佐賀県・長崎県・熊本県・鹿児島県・山口県・岩手県・静岡県 | 2015年(平成27年) |
20 | ル・コルビュジエの建築作品‐近代建築運動への顕著な貢献‐ | 東京都 ※フランス・ドイツ・スイス・ベルギー・アルゼンチン・インド | 2016年(平成28年) |
21 | 「神宿る島」宗像・沖ノ島と関連遺産群 | 福岡県 | 2017年(平成29年) |
22 | 長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産 | 長崎県・熊本県 | 2018年(平成30年) |
23 | 百舌鳥・古市古墳群‐古代日本の墳墓群‐ | 大阪府 | 2019年(令和元年) |
24 | 奄美大島、徳之島、沖縄島北部及び西表島 | 鹿児島県・沖縄県 | 2021年(令和3年) |
25 | 北海道・北東北の縄文遺跡群 | 北海道・青森県・岩手県・秋田県 | 2021年(令和3年) |
26 | 佐渡島の金山 | 新潟県 | 2024年(令和6年) |
山口県萩市、静岡県伊豆の国市には反射炉と言う同じ形式の炉が、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産として登録されています。
ちなみに鹿児島市の旧集成館反射炉は炉そのものは無く跡のみですが、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業」の構成資産の一つとして登録されています。
筆者はリゾートバイトで、2022年12月~1月は山口県萩市、2024年7月~9月は静岡県伊豆に滞在していました。
萩滞在中、反射炉を訪れていたのですが、当時は将来静岡へリゾートバイトに行くかどうかはもちろん分かりません。
そして偶然にも1年半後リゾートバイトで伊豆に行くことになり、韮山反射炉を訪れる機会を得ました。
今回は二つの反射炉を訪れたレヴュー記事となります。
では、行ってみよう
反射炉とは
反射炉と聞いて、TV番組TOKIOのDASH島を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか?
世界遺産・韮山反射炉をお手本に着工から2年半880日かけて完成(2019年10月頃放送)。
これで反射炉の存在を知った人も多くいたと思いますし、韮山反射炉も少なからず脚光を浴びたと思います。
反射炉は西洋で開発された金属溶解炉で、幕末から明治初期にかけて日本の産業革命を支える重要な技術のひとつ。
欧米列強に対し洋式大砲が必要となった江戸時代後期、反射炉の知識が蘭書によってもたされ、幕府や一部の藩が反射炉の導入に取り組みました。
1851年(嘉永4年)佐賀藩(肥前藩)が日本で最初の反射炉が完成させ、薩摩藩、伊豆韮山代官所(幕府天領)、水戸藩、長州藩(萩藩)が続き、また民間でも安心院(大分県)、六尾(鳥取県)、大多良(岡山県)などで反射炉が導入しました。
反射炉の遺構は山口県萩市、静岡県韮山、鹿児島市旧集成館のみで、日本の産業技術史上たいへん貴重な遺跡とされてます。
萩反射炉
1855年(安政2年)反射炉の操業に成功していた佐賀藩(肥前藩)に藩士を派遣し、鉄製大砲の鋳造法伝授を申し入れるも拒絶され、反射炉のスケッチのみを許されたとのこと。
倒幕運動は薩長土肥って言いますが、この頃は佐幕派、朝廷、公武合体派のいずれとも均等に距離を置く政策をしていた佐賀藩。
最終的に佐賀藩は大政奉還、王政復古まで静観し、戊辰戦争の兵派遣で倒幕運動に参加しました。
だから拒絶したんだろけど、スケッチは許可。。
ここがうまいとこだね。
その佐賀藩はこの時すでに日本初の蒸気船「凌風丸(りょうふうまる)」を建造し、反射炉も操業するなど、日本一の技術立国でしたが、長州藩も負けてはおりません。
長州藩はこの時のスケッチをもとに萩反射炉を建設したのですから、現場を見る観察力、洞察力には目を見張るものを感じます。
現在残っている遺構は、安山岩積まれた(上方一部レンガ積み)高さ10.5mの煙突にあたる部分。
オランダの原書によると反射炉の高さは16mあり、萩反射炉は約7割程度の規模のものとなります。
長州藩の記録では1856年(安政3年)に試験的に金属の溶解実験が行われたのみなので、萩反射炉は試作炉で築造されたと考えられてるようです。
萩反射炉の観覧料は無料な上、無料ガイドもあります。
この時筆者は無料ガイドを申し込まなかったのですが、約1年半後に韮山反射炉を訪れ、無料ガイドの素晴らしさを知ることになりました。
住所 | 萩市椿東4897-7 |
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営業時間 | 見学自由 |
定休日 | なし |
料金 | 無料 |
TEL | 0838-25-3380 (萩市世界文化遺産室) |
アクセス | 国道191号線沿い 萩循環まぁーるバス(東回り)「萩反射炉」バス停より徒歩2分 |
駐車場 | 無料駐車場有(普通車21台・大型車3台) |
ガイド有無 | 無料ガイド常駐(9:00~17:00) |
ホームページ、SNSその他 | 公式サイト |
駐車場は国道191号線に面しており、標識を見落としてもセブンイレブンが目印となります。
韮山反射炉
着工から3年半かけ1857年(安政4年)11月に完成した韮山反射炉。
韮山は幕府直轄地だった為、代官であった江川英龍(坦庵)が手掛け、江川英龍死後は息子の英敏が跡を継いで完成させました。
この時すでに反射炉の建造も行っていた佐賀藩に応援を求め、技師の派遣を要請。
佐賀藩士の協力を得て韮山反射炉は完成したわけですが・・・
長州藩には拒絶(スケッチのみ許可)で、幕府側には技師の派遣ってさー
それでギリで討幕派に加わり、薩長土肥ってよばれるんだよねw
その韮山反射炉は、1864(元治元年)幕府直営反射炉としての役割を終えるまでに、鉄製カノン砲や青銅製野戦砲などの西洋式大砲が鋳造されていました。
韮山反射炉は操業停止後、幾度なく解体の危機がありましたが、1908年(明治41年)に初めての保存工事が行われ、その後も大正、昭和、平成と大規模な保存修理が行われています。
その結果今では韮山反射炉は「江戸時代に実際に大砲を製造した反射炉が、当時の姿で残っている」貴重な遺構となっているわけですね。
萩反射炉とは違って韮山反射炉は、500円の観覧料がかかります。
反射炉を見るだけであれば外からで十分ですが、柵の外からだと単なるレンガの煙突にしかみえません。
筆者の感想としては幕末・明治維新に興味があるなら入場することをお勧めします。
ガイダンスセンターに入るとロボットがお迎え。
この子はめっちゃ可愛く、ネコのように甘えてきます。
そして券売機で観覧料を支払った後、様々な資料やシアタールームで約8分間のVTRを見て反射炉のそばへ行きます。
韮山反射炉は本体全体が現存しており、各部位に説明板があり、反射炉の理解が深まります。
ここで、無料ガイドさんが声をかけられ、お願いしました。
筆者が観光施設で無料ガイドを受けるのは初めてで、結論から言うと非常に有意義な時間を過ごすことができました。
筆者はソロ活中心な為、比較的案内板をじっくり読む時間があることから、無料ガイドは不要と思っていましたが、これは間違いでした。
やっぱりよく分かるし、より深堀された話を聞くことができました。
萩反射炉でも無料ガイドをお願いすればよかったと、今更ながら1年半前のことを悔やみましたね。
物産館の後ろにある茶畑の展望デッキから、富士山をバックにした韮山反射炉を望むことができますが、この日は雲に隠れて見えませんでした。
住所 | 静岡県伊豆の国市中268 |
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営業時間 | 3月~9月:9:00~17:00 10月~2月:9:00~16:40 |
定休日 | 毎月第3水曜日(この日が国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)に規定する休日である場合は、その翌日)、年末年始(12月31日~1月1日) |
料金 | 500円 |
TEL | 055-949-3450(ガイダンスセンター) |
アクセス | 伊豆縦貫自動車江間インターチェンジから約15分 |
駐車場 | 無料駐車場有 |
ガイド有無 | 無料ガイド有り |
ホームページ、SNSその他 | 公式サイト |
韮山反射炉は観光名所の一つとして施設がしっかりしており、物産館(上の写真手前側)も別にあります。
物産館では茶摘み体験も受け付けています。
まとめ・感想
萩市と伊豆へリゾートバイトに行ったことから、たまたま2つの反射炉を観覧することになった今回。
非常に興味深い観覧となりました。
萩反射炉を訪れた時は「ふ~ん」って感じで、それほど興味をそそらなかったのですが、韮山反射炉でガイドさんの話を聞くことによって、幕末から明治にかけての日本の発展について理解が深まりましたね。
また今まで無料ガイドをお願いしたことがなかったのですが、韮山反射炉での無料ガイドを経験して、「これはお願いしないともったいない」と感じ、今後は時間やタイミングが合えば、積極的にお願いしようと思いました。
日本の世界遺産は複数で形成する「群」のものが多く、日本各地に「これが?」って感じの世界遺産が数多くあります。
萩反射炉もその一つではないでしょうか?
ただ理解を深めると、古いレンガ造りの煙突にしかみえない建造物に、当時の日本の状況を思い浮かべることができます。
筆者はわざわざ世界遺産を巡る旅はしていませんが、リゾートバイトのおかげで世の界遺産に出会うチャンスが多いことに、今更ながらリゾートバイトの良さも感じることもできました。
おわり
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