滋賀県大津市の石山寺は、巨大な硅灰石(天然記念物)の上に建てられており、西国三十三所観音霊場第十三番札所でもあります。
また近江八景の景勝地の一つ「石山の秋月」として知られています。
2024年大河ドラマは、紫式部を主人公とした(吉高由里子主演)「光る君」。
その紫式部が「源氏物語」を書くため7日間の参籠(さんろう:一定期間こもって祈願すること)を行った寺とされているのが、石山寺です。
もともと滋賀県内でも人気の寺院一つであった石山寺ですが、ますます人気が出てきました。
今回は7月初旬に参拝した「石山寺」を紹介します。
では、お参りしよう
石山寺 境内全体
石山寺は、清流瀬田川のほとり、伽藍山(標高239m)の一部を境内としています。
伽藍山は至る所に硅灰石が突出した「石の山」で、硅灰石の岩盤の上に立っていることが石山寺の名前の由来とされています。
石山と言う名前の山上にある寺ではないという事ですねw
あ山の一部を境内としている為、杉林、あお若葉や紅葉などで、自然の豊かさを感じながら参拝します。
参拝(筆者実績参拝ルート 約2時間30分)
筆者は石山寺へは車でアクセスしました。
参拝時間はかなりゆっくりじっくりで、約2時間半(駐車場ー参拝ー甘味処ー駐車場)。
従って駐車場から順に、筆者が巡った参拝ルートで紹介します。
有料駐車場 600円
国道422号線に面して、有料駐車場があります。
駐車料金は乗用車600円です。
駐車場から石山寺の山門「東大門」までは、徒歩約5分です。
三鈷の松 弘法大師ゆかりの松
東大門へ向かう途中、石山寺観光協会前に「三鈷の松」があります。
弘法大師が厄年の42歳の時、石山寺へ修行に訪れた際、弘法大師の法力によってこの松の木は葉先が三本に分かれた珍しいものに変化し、現在に至っているそうです。
東大門(ひがしだいもん) 国の重要文化財
源頼朝の寄進によって建てられ、その後焼失を繰り返し、現存の東大門は慶長年間(1596~1615年)に側室淀殿の寄進で新築に等しい大規模修繕改造されたものです。
東大門の両脇に祀られている仁王像は、鎌倉時代の仏師運慶・湛慶の父子によって造立されたと伝えられています。
大黒天 子年のみご開帳される大黒天像
東大門をくぐり抜けて参道を進むと、右手に大黒天が現れます。
本堂に祀られている大黒天像は室町時代の秘仏。
御開帳は12年に1度子年なので、次回は2032年になります。
おみくじ30円。
筆者の経験上、最も安いおみくじですね。
料金所 入山料 600円
「光る君へびわ湖大津大河ドラマ館」と「源氏物語恋するもののあはれ展」が大黒天の対面に開催されています。
筆者はセット券A(石山寺+本堂内陣)1,000円で入山しました。
石山寺本堂は本堂建物内に外陣と内陣にわかれており、外陣には入山料のみで入れます。
外陣が礼堂(御本尊が祀られている、通常お参りするところ)、内陣はその裏側のエリア。
貴重な仏像などを拝観できるようになっています。
本堂内陣とあると、入山料のみでは本堂内に入れないと勘違いする人が多いようですが、本堂外陣に入りお参りできます。
くぐり岩~比良明神影向石~龍蔵権現社~御神木
料金所を抜けて長い階段を上がり本殿へ向かうわけですが、階段を上りきるまでに、いくつかの見所があります。
柄杓は置いてなく、直接手を清めるタイプの手水舎が階段下右にあります。
くぐり岩
料金所を抜けると、右側に行けがありその奥に「くぐり岩」があります。
このくぐり岩の穴をくぐると願いごとがかなうと言うパワースポット。
筆者が参拝した日は雨天の為、残念ながら立入禁止でした。
比良明神影向石
東大寺の良弁僧正と比良明神が出会った場所で、比良明神が座っていた石は「比良明神影向石」。
聖武天皇に東大寺の大仏建立に必要な黄金の調達を命じられた良弁僧正は、金峯山に籠もり、夢告を受け石山を訪れます。
岩の上で釣りをしていた老人から、「この地で拝めば、探している金が見つかるであろう」と告げられ、祈願したところ、陸奥の国で黄金が見つかり、無事に東大寺の大仏を完成させることが出来た、と伝えられています。
この老人が近江の地主であった比良明神で、比良明神が座っていた石を「比良明神影向石」として今も大切に守られています。
龍蔵権現社
本殿へ向かう階段の途中左手に、熊野権現の別社である龍蔵権現社があります。
龍蔵権現社は石山寺の鎮守社。
磐座の上に直接建てられている社殿は、明和年間(1764~1772年)に再興されたものです。
御神木
階段を上りきると、右手に樹齢350年の御神木が現れます。
観音堂 西国三十三所観音霊場すべての観音さまが安置
観音堂の内部には、西国三十三所観音霊場すべての観音さまの尊像が安置されています。
毘沙門堂 滋賀県指定有形文化財
安永2年(1773年)に建てられた毘沙門堂は、滋賀県指定有形文化財の堂宇。
堂内には兜跋毘沙門天(重要文化財)、吉祥天、善膩師童子が祀られています。
蓮如堂 神事、仏事の両方に使用されていた拝殿
慶長7年(1602年)、三十八所権現社本殿の拝殿として建築され、重要文化財に指定されています。
神事、仏事両方に使用されていた非常にまれな堂宇。
明治以降は、蓮如上人六蔵の御影や遺品を祀る堂として使用されていることから、蓮如堂と呼ばれています。
硅灰石(けいかいせき) 天然記念物
石灰岩が花崗岩の熱変成作用を受けると、大理石もしく硅灰石に変化しますが、その多くは大理石に変化します。
石山寺がある伽藍山のように、山自体が硅灰石非常に珍しく、天然記念物に指定されるのも納得できますね。
本堂 天然記念物の上に建つ国宝 本尊の秘仏は重要文化財
国宝である本堂は焼失により永長元年(1096年)に再建されたもので、滋賀県で最も古い建物です。
本堂は二つのエリアがあり、一つは外陣礼堂(御本尊が祀られている、通常お参りするところ)、もう一つは内陣。
内陣は別途有料で観覧になりますが、外陣は普通に参拝できます。
外陣は、淀殿の寄進によって建て増しされた部分で、内陣が平安時代、外陣が桃山時代と遠く離れた二つの時代が繋がった本堂になります。
本尊は「如意輪観世音菩薩(にょいりんかんぜおんぼさつ)」で、国の重要文化財に指定されています。
如意輪観世音菩薩は平安期につくられたもので、勅命(天皇の命)によって封印されている日本で唯一の「勅封(ちょくふう)秘仏」。
封印を解く御開扉(ごかいひ)は、33年に一度(次回は2047年)と天皇即位の翌年にが行われ、勅使(天皇からの使い)立ち会いのもと厳粛に扉が開かれます。
紫式部が源氏物語「須磨明石の巻」を書いたとされる「源氏の間」は、本堂の出入口にあります。
三十八所権現社 国の重要文化財
三十八所権現社は神武天皇から天智天皇までの38代の天皇を祀る石山寺の鎮守社。
淀殿が本堂外陣を寄進したの際、慶長7年(1602年)三十八所権現社本殿と拝殿(現在の蓮如堂)も寄進し、建てられました。
経蔵(きょうぞう) 滋賀県下最古の高床式校倉造
滋賀県下最古の高床式校倉造の重要文化財。
正確な年代は不明ですが、桃山時代の16世紀後期建立と推測されています。
以前は国宝の淳祐内供筆聖教(しゅんにゅうないぐひつしょうぎょう)など重要な聖教や経典が収蔵されていた建物です。
紫式部供養塔 松尾芭蕉句碑
石山寺境内には数多くの宝篋印塔があり、その中でも紫式部の供養塔は、鎌倉時代のものと推定され、国の重要美術品に認定されています。
隣には、松尾芭蕉の句碑も並んでいます。
多宝塔 最古最美の多宝塔で国宝
石山寺で最も高台になるであろう場所へ上る階段正面には、多宝塔がそびえ立っています。
石山寺の多宝塔は、高野山金剛三昧院(和歌山県)、慈眼院(大阪府泉佐野市)並んで、日本三大多宝塔のひとつ。
源頼朝の寄進におより建立されたと言われており、最古最美として知られ、国宝でもあります。
内部に祀られているご本尊大日如来は、快慶の作品で国の重要文化財でもあります。
源頼朝、亀ヶ谷禅尼供養塔
源頼朝の寄進によって建てられたからでしょうか?
多宝塔の前に源頼朝供養塔があります。
左隣には源頼朝の姫(娘?)の乳母と言われている亀ヶ谷禅尼の供養塔があり、こちらは国の重要文化財となっています。
豊浄殿
豊浄殿では、毎年春季、秋季に「石山寺と紫式部展」が行なわれますが、今年は大河ドラマ「光る君」の影響なのでしょうか?
2024年は紫式部や『源氏物語』に関連する石山寺所蔵の文化財の展示を、3期に分けて行います。
3月16日(土)~6月30日(日)
7月6日(土)~8月25日(日)
9月1日(日)~12月1日(日)
紫式部が使ったと伝わる「伝紫式部料 古硯」が展示されてるので拝観したかったのですが、筆者が往訪した時期は、残念ながらクローズ時期でした。
光堂
2008年(平成20年)、石山を発祥の地とする東レ株式会社の寄進によって建てられた堂宇。
鎌倉時代に存在したという光堂を復興を目指したもので、本堂と同じ構造になっており、本尊は阿弥陀如来です。
紫式部像
筆を持っているけど、執筆風ではない姿の紫式部像。
紫式部と言えば源氏物語ですが、百人一首にも紫式部の和歌があります。
めぐり逢ひて 見しやそれとも わかぬ間に 雲がくれにし 夜半(よは)の月かな
ちなみに百人一首は筆者の愛読書の一つでもあります。
八大龍王社
八大龍王社は龍穴と呼ばれる中島に建てられてる神社。
炎天下でも諸雨法を修すれば必ず雨が降ると言われる場所とのこと。
また、歴海和尚が孔雀経を読んでいると龍たちが現れてお経を聞き、和尚がお経を読み終えて帰る時には、庵まで送ったと伝わっています。
すぐそばには、歴海和尚が読経の際に座っていたとされている石があります。
月見亭
1156年(保元元年)後白河天皇行幸のとき建てられたされ、近江八景の一つ「石山の秋月」に描かれている月の名所。
紫式部の時代より後なので、紫式部が詠った百人一首の「雲がくれにし 夜半(よは)の月かな」は、この月見亭から月ではないのでしょうね。
鐘楼 重要文化財
源頼朝の寄進と伝えられており、国の重要文化財に指定されている鐘楼。
細部の手法から建築は鎌倉時代後期とも考えられています。
御影堂 重要文化財
御影堂は室町時代の建立の国の重要文化財。
弘法大師と菅原道真の孫で第三代目座主淳祐(しゅんにゅう)内供の像が安置されています。
御朱印
石山寺の御朱印所は2ヶ所あり、初穂料は500円です。
大黒天
石山寺料金所手前の大黒天で御朱印を頂けます。
本堂
筆者は御朱印のみですが、石山寺本堂では御朱印とご詠歌がいただけます。
叶 匠壽庵
山の上までしっかりと境内散策をしたら、疲れを癒したいところ。
石山寺前にはお食事処やカフェがありますが、石山寺名物の石餅はお勧めです。
石山寺東大門前のお土産屋さんとの並びに「 叶 匠壽庵」があります。
お土産としてテイクアウトとイートインの両方があります。
明治時代中頃まで寺名の起こりでもあるその石を模した「石餅」があったと寺僧から聞き、2016年春の叶 匠壽庵 石山寺店オープンに合わせて「石餅」を復活し、石山店舗限定で販売されています。
身体を清め、力が宿り、石のように固い絆が結ばれるようにと祈念し食した故事を元に、復元されたのが、現在の石餅です。
白餅と蓬餅をねじり合わせた餅は絆を表し、その餅たっぷりのった餡は硅灰石を表現しています。
デザインもさることながら、美味かったの一言。
境内散策で疲れた身体を癒す最高の甘味でした。
店内は小さいので、大人数はテイクアウトの方が良いでしょう。
かき氷もあるので、真夏は込み合ってるかもしれませんね。
まとめ・感想
っという感じで石山寺を参拝しました。
大河ドラマ「光る君」で石山寺の参拝者はかなり多いようですが、今回は梅雨時期の雨天と平日ということもあって、参拝者が少な目でゆっくり参拝できました。
石山寺は紫式部推しの寺ですが、天然記念物や重要文化財、国宝などが盛りだくさんで、博物館のように見ごたえがありました。
全てを記事にすると膨大な量になるので、当記事では、はしょってますけどねw。
春は桜、秋は紅葉、高台からびわ湖など自然を堪能することもできます。
ただ石山寺全体を散策したい人は、少しハードなのでスニーカーをお勧めします。
ちなみに筆者はサンダルでしたが、全く問題ありませんでしたwww
おわり
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